15年振りのローマ、2度目のシスティーナ礼拝堂 〜誰もいない早朝の礼拝堂、暗闇に光が灯る瞬間に〜

2019年、パリを訪れミケランジェロの没後500年を記念する展覧会に足を運びました。その時バチカンにも行きシスティーナ礼拝堂を見たことがあるはずなのに、その記憶がほとんどないことに気付きました。覚えているのは、ただ長い列に並んで大勢の人々と一緒にいたということだけでした。前回のニュースレターでイタリアに行ったことはお話ししましたが、旅行前に計画をしていた時、友人の結婚式のためにウンブリアに向かう前にローマで一日余裕があるとわかりました。私がやりたい!と思ったのはただ一つ。システィーナ礼拝堂をもう一度見て、鮮明な記憶として心に刻むことでした。

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年前はあれほど混んでいたのだから、今はもっと混雑しているはず。私はシスティーナ礼拝堂に関する情報を求めてウェブサイトをくまなく調べ始めました。すると、まるで奇跡のように、バチカンを朝6時に訪れ、博物館の扉を開けて照明をつける特別なツアーをインスタグラムで見つけました。とても興味を引かれ、20名限定のこのツアーを扱っているサイトを見つけ、すぐに申し込みました。決して安くはありませんが、まさに夢のような体験でした。もしかしたらもう二度とローマに来ることはないかもしれない…イタリアに来るのは8年ぶり、ローマに来たのは15年ぶりですから、現実的に考えれば最後の訪問かもしれません。だとしたら朝6時から2時間のツアーに650ユーロ(約105,500円)を支払ったとしても、その価値は十分。この体験だけで、他には何もせずとも満足できると思いました。

そして迎えたツアー当日。私たちは博物館の広大な敷地の一角から入り、すべての部屋を開け、照明をつけて回るのに1時間ほどかかりました。そしてついに、システィーナ礼拝堂に到着しました。

 

ツアーグループの一人の女性が礼拝堂の扉を開ける役目を果たし、私たちは暗い部屋に足を踏み入れました。すると突然、照明が一斉に点灯しました。なんということでしょう!チャペルに足を踏み入れた瞬間は、言葉にできないほどの驚きと感動に満ちたものでした。


チャペルは私が想像していたよりもはるかに広大で、確かに以前もここに来たはずなのに、その記憶は全くなく、とても新鮮な感動に満たされました。まず部屋全体を見回すと、どこを見ても圧倒されるほどの絵画が目に飛び込んできました。そして、天井を見上げた時、さらにその感覚が強まりました。


「アダムの創造」、あの指と指が触れそうで触れない場面ですが、ポスターや書籍でよく見る鮮やかな壁画とは異なり、天井の20メートルも上に描かれているため、最初はそれだとすぐに認識できませんでした。これが、おそらく前回のことを覚えていなかった理由の一つだと気付きました。ポスターや本で見ると大きな絵に見えますが、実際には遠くにあるため、とても小さく見えるのです。しかも天井の中心に描かれた9つの場面のうちの一つに過ぎません。ガイドによると、全体では34の場面が描かれ、343の人物が500平方メートルの壁面に描かれているとのことでした。私が特に見たかったのは、アダムの創造とエデンの園でのアダムとイブの堕落のシーンでした。



その後、私は奥の部屋に足を運び、そこで初めてイタリア・ルネサンスの画家、コジモ・ロッセッリとビアージョ・ダントーニオによる「最後の晩餐」のフレスコ画を目にしました。ユダだけがイエスと向かい合って座り、小さな悪魔が彼の肩に乗っている絵です。ロッセッリの作品は、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」とは全く異なるものでした。


ほぼ1時間を過ごしましたが、もう1時間ここにいたいと思いました。だから今回がローマ訪問の最後ではないかもしれません…またシスティーナ礼拝堂を訪れることがあるかも。その時は必ず、サン・ピエトロ大聖堂にも行きたいです。

 

 

 

 

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